CLANNAD 街のリアリティ

いきなり私事になるが、先日石川県の某所まで新幹線に乗って行ってきた。そこで車窓から見た風景は、まさに田舎と呼べるものだった。ちょうど自分が子供の頃はどこもこんな感じだったなあと、とても懐かしく感じた。それで思ったのがCLANNADの街についてだった。AFTER STORYの世界観が、現代の話ではなくどこか遠い過去を舞台にしているような印象を受けたので、この街にはリアリティが欠如しているという感想をこれまで持っていた。でもこれは自分の勘違いで、作中で何度も「田舎」と呼ばれていたにも関わらず、自分はこの街に対してどこか都会的なイメージを抱いていたことに気がついた。原因は分からないでもない。具体的な田舎の描写が少なかったし、ゲームにしろドラマにしろ大抵は都会、しかも東京近辺が舞台になることが多いので、暗黙にそれを仮定してしまったのだ。でもそこの辺りの先入観を外して見ると、全然印象が違ってくる。確かに都会的な感覚からすれば既に失われた「古き良き時代」にも見えるが、現代でもこんな地域社会が完全に無くなってしまったわけではない。時代を遡る必要なんてない。場所をちょっとずらすだけで良かったんだ。断言しよう。CLANNADの舞台となった街は、今でもこの日本のどこかに確実に存在する。
そう思って改めてストーリーを追ってみると、CLANNADという物語は要するに「地方の不良が若い頃は無茶をやったりしながら大人になってささやかな幸せを見つける」という、結構泥くさいお話なのかな。