読んだ本

奇蹟の表現 (電撃文庫)

予想通り良い話だった。そして予想以上に熱かった。過去に家族を守れなかったことを後悔し続け生きる気力を失っていた主人公が、孤独な少女のために再び死地へと赴く…これが燃えずにいられようか。正直、読む前は表紙の女の子がメインの話かと思っていたけど、そんなことより主人公の漢らしさがひたすら目立ちまくっていた。萌え:燃え=1:9ぐらい。いや、怒りん坊のナツは可愛かったけど。

サイボーグ、裏社会、臓器売買、殺し屋。それに宗教が加わって、独特な世界観を構成している。それらが渾然一体としながら、最終的には一つに収斂していくストーリーには不思議な魅力を感じた。

印象に残った台詞:

「ナツが助かるのなら、俺の命はくれてやるよ。それならまだ、可能性はある。歳を取った方から順に死ぬんだ。それでいいだろ。宗教に照らしてみる必要もない。それにな」
「奇蹟を信じてる子供がいるなら、実現してやるのが俺の召命。責任だよ。ナツは他より了見の狭い厄介な娘かもしれんが、大人に心配をかけるのが子供だろ」

加えて裏表紙と、人物紹介のページのシマの台詞全部。