読んだ本

初恋マジカルブリッツ はじめていいます、大好きです (集英社スーパーダッシュ文庫)

コメントしづらいな。いや、内容がどうというのではなくて。分からないのは作者の狙いというか、どういう気持ちでこの本を書いたかということ。単にライトノベルの限界に挑戦したというわけではないだろうし、基本的には正直な、たぶん本心に近い部分から溢れ出た想いが込められているのだろうけど、それでもただ正直なだけでもなさそうだし。目次の章番号が逆順になってる理由が最後まで分からなかったので、つい色々と詮索してしまう。きっとそんな邪悪な理由ではないと信じているけど、まだ油断できない。「存在因子(イデア)のロールバック」なんていう単語が出てきてしまうと特に。評価は次巻待ちかな。
この巻の内容に限っていえば良かったんじゃないかな。恋をした人間のいっぱいいっぱいな感じがよく描けてると思う。主人公いつも走ってるし。女の子側の描写がやや足りないので、多少動機が弱いと感じたけど、作者が男だからこれはしかたないかも。それこそ隣のコバルト編集部から女性作家を借りてきて共著にすればもっと面白くなったんじゃ、なんて思ったりした。

「気持ちいいだけの関係なんて、ダメです」
「えっ」
「わたしはつらいことも、苦しいことも一緒に感じたい。都合のいいときだけ一緒にいるような、ずるい関係でいたくない」
「ずるい?」
 困惑して、鼓太郎は訊ねかえした。
 自分たちのことを指してるようでいて、祈梨は何か別のものに目を向けているような気がしたからだ。

この辺のくだりはわりと好き。この後のセリフは赤面モノだけど。