読んだ本

象と耳鳴り黄昏の百合の骨 (Mephisto Club) ICO  -霧の城-

ここ数日で読んだ本。最初は3冊目も『ライオンハート』(ISBN:4101234159)にして恩田陸特集にしようかと思ったけど、途中で気が変わって女性作家特集になった。

『象と耳鳴り』を読んで、恩田さんは短編の方が冴えてると思った。より正確には、長編(特に雑誌連載の)が最後の方で話をまとめきれなくて中途半端に終わりがちなのに対して、短編だと全体的に密度が一定で凝縮されている感じがする。たまに凝縮されすぎて変なことになってたりするけど。「海にゐるのは人魚ではない」「机上の論理」とか、圧倒的な会話のスピードでとにかく読ませる読ませる。(なお、書影が出ないので画像はハードカバー版へのリンク)

『黄昏の百合の骨』は、黒理瀬がその妖しい魅力で罪もない純真な少年を次々と籠絡していく話。違うか。未だ完全に黒になりきれなくて時々乙女ちっくになるところなんか、なまじ無意識な分なおさら怖いんだけど。タイトルは意味深に見えて意外と単純というか、単に百合と骨が出てきただけのような。

そしてようやく読んだ『ICO−霧の城−』は、宮部みゆきが原作ゲームに惚れ込んでノベライズしただけあって、とても面白かった。ストーリーの大部分はイコとヨルダが手をつないで逃げ回るだけなんだけど、幼い男の子が年上の少女の手を引いて逃げるというシチュエーションは、かなりぐっとくるものがある。ヨルダかわいいよヨルダ。