読んだ本

憐 Ren―遠いキモチと風色のソラ (角川スニーカー文庫)

話としてはここで終わるのが妥当なのは納得できる。でも、もっと読んでいたいような、終わってしまうのが惜しい作品だった。こんな気持ちになったのは小説だとポストガール以来だと思う。孤独を扱った作品は多いけど、本作では安易な救済を与えることなく、かつ主人公達が一貫して強い意志を持って行動していたから、読んでいて非常に清々しい。おまけマンガの「れん」も可愛いけど、やっぱり本編の強くて不器用でネガティブ思考だけど必死に運命と戦っていて、からかわれるとすぐムキになって子供っぽい喧嘩をしたりする憐が好きだな。
SF的には多少の矛盾はあるにせよ、500年後の世界と時間移動の理屈はそれなりに納得できるものだった。それよりも舞台が基本的に現在中心だったことがちょっと残念。未来の世界を救うというシナリオも、それはそれで面白そうだったので。