読んだ本

円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫) 円環少女 (3) 煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫) 紅 (紅シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

円環少女』はややバランスの悪いところもある作品なので人を選ぶと思うのだが、意外にも評価は高いらしい。人を選ぶということは逆に言えば選ばれた人には非常に面白いということで、かくいう自分もその口だったりする。刻印魔導師と悪鬼(魔法を使えない人間)、先生と生徒、大人と子供、英雄と敗北者、兄と弟、等々の関係を通して一貫して描かれているのは、立場や考え方の異なる者同士が解り合うことの難しさであり、それでも解り合おうとすることの素晴らしさだ。その点において単なるラブストーリーやバトルものとは一線を画している。それはそれとして、小学生にして天性のいじめっ子ぶりを遺憾なく発揮するメイゼルの性格は明らかに異常。でもって、それを嬉々として書いてる作者も異常。いいぞもっとやれ(笑)。

で、小学生ヒロイン繋がりというわけでもないが『紅』は結論から言うと自分には合わなかった。前作から踏襲されたという不自然に歪な世界観にも違和感を覚えたし、体言止めを多用する文体もあまり意味があるとは思えない。なによりあれだけのキャストを配しておいて主人公のどうしようもないモラトリアムっぷりがすべてを台無しにしている気がする。特に、最後の最後で重要な選択を7歳の女の子に委ねている時点で主人公失格だと思う。あそこは問答無用で奪い取るぐらいの気概を見せてほしいところだ。