読んだ本

悠久展望台のカイ (MF文庫J)

「世界が恋人」なんて超変化球のストーリーだけど、同時にすごく直球なラブストーリー(×2)。特に女の子のナチュラルな腹黒さ(笑)を感じさせるところがリアルで好き。作者にその意図はないかもしれないがSFとしても実に興味深くて、個人的には今年の星雲賞ノミネート作品に推薦したいぐらい。
人称の問題は気にならなかった。これは三人称ではなくて世界である「僕」の一人称だと思うから。依泉子の主観が「僕」の主観を通して語られるので、ちょっと読んでいて戸惑うことはあると思うけど。
最後、エピローグまで読み終わってから改めて表紙イラストを見ると、タイトルと相まってその意味が分かって、なるほどと思った。
(以下少しネタばれ含むコメント)
後半の「呪い」というのはいかにも取って付けたような印象を受けたので、そのことと世界の姿が見えるようになる仕組みを関連付けることができれば、SFとしての評価もより高くなると思う。