読んだ本
- 『未来(あした)のおもいで』 梶尾真治 ISBN:4334737676
- 『光の帝国―常野物語』 恩田陸 ISBN:4087472426
『未来のおもいで』は、作者お得意のタイムスリップ・ロマンス。これは…ネタばれになっちゃうけど開始40ページで分かることだから書いちゃえ。ええと、これは『たんぽぽ娘』の逆パターンだな。この本をSFとして読もうとすると、SF的な謎が早々に片付いてしまって(しかも未解決の謎は最後まで謎のままで)拍子抜けするかもしれないけど、その分逆にプラトニックなラブストーリーとしての純度は高いから、一般の人が読んでも十分面白いと思う。
『光の帝国―常野物語』は異能の一族常野の人々を巡る連作短編集。それぞれのお話はバラエティに富んでいて、しかも恐ろしいことに、この後いくらでも続編が書けそうなものばかり(必ずしも良い意味だけではなくて、逆に言えば終わり方がひどく中途半端なものも)。この中では『オセロ・ゲーム』が単体として一番面白かったかな。抽象的な能力を極めて映像的に表現するやり方は、なんとなくジョジョのスタンドっぽい。膨大な記憶を頭の中に「しまう」ことのできる家族のお話『大きな引き出し』は恩田陸版エマノンという感じで、一番続きが読んでみたい。