読んだ本

幽霊には微笑を、生者には花束を (ファミ通文庫)

やられた。まさかここまで自分の趣味嗜好にクリーンヒットする作品だとは思わなかった。
単に理屈っぽいだけのゴースト・ストーリーかと思ったら、話が進むにつれて因果律の矛盾なんていう実にSFマインド溢れるガジェットが出てきて驚いた。後半の幽霊の身元&犯人捜しも推理モノとしてなかなか面白かったし、伏線の張り方も上手い。キャラクターの配置に関しても、主人公と主人公にしか見えない幽霊に加えて主人公の妹という第三者を加えたことが会話のバリエーションを広げるのに有効に働いていると感じた。最後のオチも綺麗にハッピーエンドで終わって実に見事。久しぶりに最初から最後まで満足できる作品を読んだ。