読んだ本

精霊の木

守り人シリーズに比べると、主人公が何の力もない子供なので冒険による成長という要素がある点で正しく児童文学してる。中盤〜後半の追われながら次第に過去の記憶を取り戻してなんとか逃げ回るシーンはなかなか面白かった。SFとしてのディテールは大したことないが、ひとつの種族の歴史まで完璧に作りこまれた世界観には、やはりSF的センス・オブ・ワンダーを感じる。

作者の根源的な問題意識として先住民族に対する征服と歴史の改竄への憤りというものがあって、それがかなりストレートに表れている。処女作だから多少荒削りな部分もあるが、その後の守り人シリーズへと繋がる全てが詰まっている作品だと思う。