SEVEN-BRIDGE / ライアーソフト

SEVEN-BRIDGE

色々言いたいことはあるが…私はこの作品を認めようと思う。残念ながら名作ではない。途中までは十分その資格を持ち得たはずだったが、どこかで明らかに最初の形とは別の物になってしまった。それでも、エンディングの数枚の絵を見ただけで個人的にはすべてを許せる気がしたし(これもまたひとつの形)、蒸気機関車と魔術が共存し複数の国と宗教が入り混じる魅力的な世界観や、韻律や改行位置まで緻密に計算された文章は、減点要素を補って余りある。激しく人を選ぶ作品ではあるものの、物語好きならやってみて損はないんじゃないかと思う。
(以下、「色々言いたいこと」の一部。多分ネタバレはほとんどない)
ライアーファン、というか星空めておファンには悪いけど、これ星空めておが書いたのって途中までじゃないかな。あくまで第1章が星空めておの筆だという仮定の上での、想像でしかないけど。それくらい第1章とそれ以降は違っていた(決定的に変わったのは3章辺りから)。顕著なのは文章に対するこだわりの強さだ。韻律や改行位置は言うに及ばず、多言語環境であることを踏まえた上での的確な演出から、テキストと音声の使い分け、細かい単語の選び方に至るまで、最初の数章は文句の付けようがないくらい素晴らしかった。それに対して後半は誤字も多いし普通は漢字とすべきところをひらがなで書いたり、濡れ場で隠語を頻繁に使ったり、些細だけれど見過ごせない無神経さが散見された。星空めておライアーソフトを退社したことと関係があるのかは不明だが、多分何らかの妥協があったんだろう。消化不良の伏線もかなり残ってる。途中にずいぶん不要なシーンもあった。それでも、終わり良ければすべて良し。例えそれが、最初に目指した終着点とは違っていても。
最後に揚げ足取り。7つの橋なのにbridgeが単数なのには何か深い意味でもあるんだろうか?